ギンザ、トーキョー
ワインの関連で半年程、定期的に銀座でアルバイトをしていた。
どことは書いてはいけないのだけれど、
銀座、しかも老舗デパート、取り扱うのはある程度の高級ワイン。
端的に言って、金持ちが相手だった。
仕事に対して努力はしたが、
庶民の私の肌には合わない社会だった。
残念ながら、私はみるみるこの街を嫌いになった。
女たちは美しかったが、互いを値踏みしあっているようだった。
他人が身に付けているものにまで目を走らせては、
「あの人のハイヒールはいくらだ」とかいらぬ情報を私に寄越したりした。
へぇそうなんですね、とにこやかに相槌を打ちながら、
なんてくだらないんだろうと思った。
裕福さと人間の器の大きさは比例しないのだと知った。
もちろん、その二つとも優れている人にも出逢ったし、
そういう人のことは心から尊敬したけれど。
新米の私を若造と見下す客の前で、せめて田舎娘のようであるのをやめた。
きちんと化粧をすることは、身を守る盾のようなものだった。
高級品で身も顔も固めた人たちに適うわけもないが、
一丁前に制服を着てハッタリをかました。
夜に店を出ると、多くの男と女が腕を組み歩いていたものだった。
“女”について考えた。
美しく着飾り、見栄を纏い、
私とは世界が違う“女”について。
そして私の中にも存在する“女”について。
イメージはトーキョーの女、
少しの悪戯心。
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