黒木ちひろ

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Diary

あの日のこと(2)

(1)→http://chihiro-kuroki.jp/blog-entry-618.html




海岸に辿り着いても空はまだ明るくちらほらと人もいたが、
離れたベンチに座る私に敢えて近付く人はいなかった。


一人で泣いた。
ずっと泣いた。
そして、買ったものは全部飲み干した。


自暴自棄だった。
これで私に何かあったらあの医者の責任にならないだろうかと、
恨みがましい気持ちもあった。
ごめんよ先生。逆恨みもいいところだ。

医者を恨んだってしょうがない。
「解決する方法はきっとある」と私に希望を持たせた周りの人たちを恨むつもりもない。
ただ憎いのは、期待をしてしまった私自身なのだ。


ずっとうつに悩まされてきた。
改善しようとあらゆることを試した。
そしていつも全てが徒労に終わった。
その度に、もうちゃんと諦めようと
逃げられないのなら無駄な期待をするのはやめようと
思ってきたはずだ。

なのにどうしてこの期に及んで、
私はまた期待しちゃったんだろう。

もうこれでやめよう。
二度とやめよう。
生まれ変わるなんて希望を持ってはいけないの。
辛くても、辛くても、繰り返す荒波を受け入れろ
なんて
ああ頑張るのやめたい。
立っていたくない。
愛しい人たちみんな裏切ってさよならなんて
できるわけもないくせに。



泣き続けるうちにどのくらい時間が経ったのか、
灯りのない砂浜は真っ暗に
人影もすっかり絶えていた。


アルコールと薬でふわふわぐるぐる歪む世界で
波音がまるで耳元で鳴っているようだった。



作りかけの歌が流れた。
この口から。

全てが真っ黒に沈んでしまったような気分なのに
濁流を裂いて一筋の澄んだ水のように、メロディは流れた。

こんなときでも歌は生きていた。



生きろよ。


そうだね。
生きなきゃ。





だってこの歌、まだ完成してないや。





「どこにいるの」



「海」





私はこうして私の人生において何度目かの絶望に呑み込まれ、
そして、また生きた。





これ以来、健康オタクをやめた。
食事、運動、睡眠、
どんなに気を遣ったって結局管理できる自分ではないのだ。

だけどそんな今の方が、
「健康志向」に縛られていた頃よりはましだと思う。


諦めろ。受け入れろ。
動けるときに動けるだけ

死ぬ気で生きてやるんだクソッタレ。





4月5日(水)発売
活動復帰シングル
『叶わぬものの多さを知る』
https://studiopaula.official.ec/items/4881370



4月21日(金)
活動復帰ライブ@横浜 O-SITE



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