黒木ちひろ

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Chapter 1 - Diary

穏やかに

「うちの、亡くなっちゃったよ。」


いつもと大して変わらない調子で、そのおじいさんは言った。

いつもと違うことと言えば、彼が喪に服すための正装をしていたことと、
隣に奥さんではなく、同様の格好をした若い男性がいたこと。

ご夫婦とも口数の多いほうではなかったから、
そんなに話したことはない。
けれど、二人でいるのをよく見ていた。

奥さんの足下が覚束なくなってからは
ご主人がしっかりと肩を支えて歩いていたし、
もっと悪くなって車椅子に頼るようになってからも
ご主人がそれを押して同じように外出していた。
ほんの、最近まで。

連れ添う、というのは、成程こういうことかと思う。
奥さんはきっと幸せだっただろう。
ご主人もおそらくそれを分かって、
取り縋ったりもしないだろう。

人として正しく、
穏やかに

一つの命が終わりを告げた。





絶えず変わっていくこの街、で
今日も私は歌うようです

2 Comments

sey@ichiro says...""
「連れ添う」
いい言葉ですね
2013.07.19 09:37 | URL | #- [edit]
ちひろ says..."> sey@ichiroさん"
いいですね。
いつかは、連れ添う相手も見つけたいものです^_^笑
2013.07.19 16:59 | URL | #E/bIb4qs [edit]

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