手
暗がりで自分の手を見つめる
私はこの手を 手首を 腕を
傷が付かないよう
守ってほしかった、のだけれど
手は、
何かを守るためにあるみたいで
大抵いつもガサガサで
ときどき、ささくれ、ひびわれて
歪んだ爪は短くしているし
マニキュアなんて何年も塗ってない
火傷したあとを
大したことないと放っておいたら
本当になんともなかったみたいで
触っても痛まなくなった
ささくれも、ひびわれも
猫に噛まれたあとも、カッターナイフのあとも
何度も治してきたんでしょう
傷になんか、負けないんでしょう
醜く汚したその分だけ、
何を守れるというのかしらね