unmoving castle
ああ、雲が速い
ああ、目が回る
天窓から空だけ見ていると
ふわっ、と
本当に家が動いた感じがするの
私はその感覚が好きだった?
嫌いだった?
“動ける力を持っているのに
それを無駄にしている奴がいるなら
殴ってやりたいくらいだ”
と
確かあの頃言っていたと思うが
どうだろう、君から見て今の私は
どうだろう、殴ってやりたいくらいだろうか
今も上手に生きられる自信は無いまま
今も全力には追い付けないまま
それでもくたくたになりながら一日を繋いでる
そしてまだ 力を望んでる
どうだろう、君から見て今の私は
どうだろう、嘘みたいだと思ってくれるか?
鳥は私を嗤いに来ない
黒い犬はそこにいるけど
いいこにおすわり、私を見てる
時代は少し廻って
外からは新たな子供の声
私の家は動かない
けれど私の足は動く
時代は少し廻って
私はどこへ行こう